心臓弁膜症|守口市の循環器内科 ちはるクリニック| 基準 治療

心臓弁膜症

心臓弁膜症

心臓弁膜症の国内推計患者数は現在200~300万人といわれており、年々増加しています。
健診で心蔵の雑音を指摘された、最近動く時に息苦しい、動悸がする、むくみがひどくなってきたなどの症状はありませんか?

心臓弁膜症とは

心臓は4つの部屋(左心房、左心室、右心房、右心室)に分かれており、左心房と左心室の間に僧帽弁、左心室の出口に大動脈弁、右心房と右心室の間に三尖弁、右心室の出口に肺動脈弁があり、血液が逆流しないように働いています。その逆流防止弁に不具合が起きることを総称して弁膜症と言います。

逆流防止弁について

  • 大動脈弁:心臓(左心室)から大動脈に血液が流れ出すところにある弁
  • 僧帽弁:左心房から左心室の間についている弁
  • 肺動脈弁:心臓(右心室)から肺に血液が流れ出すところにある弁
  • 三尖弁:右心房から右心室の間についている弁

いずれの弁にも弁が硬くなって血液の通りが悪くなってしまう狭窄症と、しっかり閉じなくなって逆流してしまう閉鎖不全症があります。

原因・疫学

弁膜症の原因は先天性という生まれつきに弁の形態異常のほかに、以前は若いころにかかったリウマチ熱による原因がありました。リウマチ熱をきっかけとした弁膜症は少なくなってきましたが、近年増えているのは加齢に伴うものや感染によるものです。弁膜症は徐々に進行するので高齢化社会において増えるのは当然とも言えるのですが、動脈硬化が原因となる大動脈弁狭窄症は65歳以上の2〜4%と高い有病率となっており、日本国内の潜在患者数は100万人に達すると推定されています。

症状について

さて弁膜症ではどのような症状が起こるのでしょうか。

弁膜症は軽度から重度まで段階がありますが、ある程度年齢を重ねると軽度の弁膜症を認めることはしばしばあります。単独の弁で軽度から中等度では特に症状を認めることは少ないですが、複数の弁が機能をしなくなったり、単独でも重度になるにつれて症状がでてきます。

重症では心不全の状態になり、歩くときの息切れやむくみがでてきます。大動脈弁狭窄症では心不全の前段階として狭心症に似た胸痛や突然意識を失うこともあります。

検査について

弁膜症を見つけるためには心臓超音波検査(心エコー)が使われます。体表面から行う検査で痛みもなく、比較的簡便に行うことができます。心臓の動きや大きさ、逆流や狭窄の程度をみることで弁膜症の程度を評価することができ、当院では医師が直接行って診断しております。なお重症の弁膜症が疑われる場合には治療を考えるために、より高度な経食道心臓超音波検査検査(経食道心エコー)やカテーテル検査などを行う必要があります。その際には高次医療機関を受診していただきます。

治療について

軽症や中等症の場合、特に生活や行動を制限することはほとんどなく、治療も必要ありません。ただし、弁膜症が自然に治ることはないので定期的に検査を行う必要があります。経過をみることで重症に進行していく場合には高次医療機関での治療を検討していきます。

弁膜症を根本的に治すには手術が必要となります。狭窄症では弁をとりかえる「弁置換術」が主流であり、比較的若い方では機械弁、高齢になるにつれ生体弁を用いられることが多くなります。また、閉鎖不全症では自分の弁の悪い部分を縫い直し、逆流を止める「形成術」が多く行われています。

以前は胸を大きく開く胸骨正中切開術が主流でしたが、最近はMICS(低侵襲手術)を可能な症例では行っている施設もあります。傷が小さくて本人の負担は軽く、入院日数も短縮されています。超高齢者の大動脈弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症の手術でリスクが高い症例には、カテーテル治療も選択されるようになっています。

手術ができない場合、行わない場合には保存的加療を行うことになります。内服薬を調整することで心不全の症状を軽減させることができます。ただし、その場合には弁膜症の進行とともに徐々に心不全の症状は強くなり、最終的にお薬での調整が難しくなってくることが予想されます。

予防などについて

弁膜症の治療、手術は日進月歩で進歩しています。しかし、弁膜症が重症になってしまった場合の本人の負担は計り知れません。歳を重ねるほど弁膜症も進行していきますが体力的に手術を受けるのが難しい状態にもなっていきます。

弁膜症が進行しないようにするのはなかなか難しいですが、大動脈弁狭窄症では動脈硬化をコントロールすることが進行を抑えることにつながると言われています。生活習慣病は動脈硬化をすすめるリスクとなるので、高血圧やコレステロール値、糖尿病などの指摘を受けている方はしっかり治療することが大切です。また、喫煙されている方は生活習慣病の治療だけでなく、たばこを控えることが大動脈弁狭窄症の予防となります。

まとめ

高齢になるにつれ弁膜症の罹患率は高くなっていきますが、弁膜症の進行の程度は人それぞれです。若い方でも感染症(虫歯の放置など)をきっかけに重症弁膜症になることもありますし、中等度以上の弁膜症がありながら生涯を全うされる方もいます。経過をみていくなかで手術など治療の要否を判断するためにも定期的な検査や診察がとても重要です。

健康診断、特定健診を定期的に受けている方は多いと思います。心雑音や不整脈を指摘された場合には、弁膜症の可能性を疑いますので速やかに循環器内科を受診し、詳しい検査を受けるようにしてください。また、弁膜症があっても高血圧などをしっかり管理することで心不全にならないように予防することも可能ですので、トータルケアをすることが大切と考えます。

医院概要

ちはるクリニック

住所
〒570-0008
大阪府守口市八雲北町2-10-9
シャーメゾンステラ1階
駐車場2台完備
電話番号
06-6991-8335
診療科目
内科・循環器内科・外科・
リハビリテーション科
院長
医学博士 榎木 千春(えのき ちはる)
・循環器専門医

診療時間 9:00~12:00、16:00~19:00/休診日:木曜・土曜午後・日曜・祝日

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