高血圧とは、安静にしている状態でも血圧がある程度の範囲を超えて維持されている状態をいいます。(診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上、「高血圧治療ガイドライン2019」(日本高血圧学会)による)。 40~74歳の人のうち、男性は約6割、女性は約4割が高血圧といわれているほど、多くの人が患っています。
高血圧には特有の症状はありません。頭痛やめまい、肩こりなどが起きやすくなるともいわれていますが、高血圧ではない方もこれらの症状は起こるので特有の症状とはいえないでしょう。そのため、自分で血圧を測定したり健康診断を受けたりしないと高血圧だと気づくことは難しく、気づかないうちに進行し合併症を引き起こしてしまうことがあります。早期に発見し、早めに対策を打つことが大切です。
高血圧の原因は、塩分の取りすぎや過食、遺伝による高血圧になりやすい体質、運動不足、加齢など様々な要因が考えられています。
正常高値血圧と高値血圧は、将来高血圧になる可能性が高い予備軍と考えられています。正常高値血圧の方は生活習慣を修正し血圧を下げるように努め、高値血圧の方は、積極的に生活習慣の修正を行うか、投薬治療を開始することをおすすめします。
(孤立性)収縮期高血圧は、収縮期(最高)血圧だけが異常値をしめすもので、高齢者に多く見られる高血圧です。
高血圧の中で、はっきりした原因がわからないものを本態性高血圧といいます。高血圧症患者のうち90%近くを占め、遺伝による体質や塩分の過剰摂取、過食、運動不足、加齢などの要因が重なり合うと発症リスクが高まると考えられています。
高血圧の中で、はっきりした原因がわかっている高血圧症を二次性高血圧症といいます。原因となっている病気を治療すると血圧が下がることが期待されます。二次性高血圧症を発症する主な疾患は、腎実質性高血圧、腎血管性高血圧、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫、甲状腺機能亢進症などがあります。また、服用薬物の副作用による高血圧も二次性高血圧症です。
病院で血圧を測定したときには正常値なのに、自宅で血圧を測定すると高値を記録するタイプの高血圧を仮面高血圧といいます。病院での測定では正常値を記録するため、気づきにくいので注意が必要な高血圧です。 仮面高血圧の理由は、動脈硬化や心臓・腎臓疾患、喫煙などが考えられています。もし、自宅で血圧を測定した時に高値を記録した場合には、医師に相談してください。
高血圧は、常に血管に強い圧力がかかり血管の壁は傷つき、徐々に弾性を失い厚くなっていきます(動脈硬化)。動脈硬化が進行すると命にかかわる重大な合併症を引き起こす原因となります。また、血液を高圧で送り出すために心臓が多くのエネルギーが必要となり、疲弊しやすくなります。
高血圧を放置しておくと、脳卒中・心筋梗塞・腎臓疾患・心不全・心室肥大などの合併症が起こりやすくなると考えられているのです。
その他にも、頭痛やめまい、肩こりがひどい方は、一度気軽に受診することをおすすめします。
蛋白尿陽性とは、随時尿で0.15g/gCr以上
(日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン2019)
これらの数値はあくまでも目安となるもので、個々の状況などによって異なるため医師の判断に従ってください。 治療は基本的に、生活習慣の見直し(食事療法や運動療法)と薬物療法が行われます。
生活習慣の見直しをしても血圧が下がらない場合は、薬物療法を行います。降圧剤には様々な種類があるので医師の指示に従ってください。また、血圧計を購入し自宅で血圧を測定して、降圧剤の服用をやめてしまうと急に血圧があがり危険なので、降圧剤の服用は医師の指示にしっかり従ってください。